パワハラ騒動も複雑に…塚原夫妻の体操界“二重権力”問題
■レスリングの栄和人氏と同じ構図
今回のパワハラ騒動をややこしくさせている一因に、塚原夫妻の“二重権力”問題がある。千恵子氏は体操女子のトップ、光男氏は協会のトップ2。同時に、2人は朝日生命体操クラブの経営者でもある。これはパワハラ問題で失脚したレスリングの栄和人氏と同じ構図だ。栄氏は全日本女子の強化本部長でありながら至学館大レスリング部監督だった。
元JOC(日本オリンピック委員会)職員でスポーツコンサルタントの春日良一氏が言う。
「この二重構造はよくありません。光男氏は副会長という名誉職だからまだ良しとしても、千恵子氏は女子日本代表のトップ。本来であれば、強化本部長になった時点でクラブの経営者を退くべきです。特定のクラブを経営していると、そこに利害関係が生まれ、さまざまな問題が生じる。レスリングの問題もそうですが、こういう問題がなくならないのは協会の丸投げ体質が原因。問題に気づいていても五輪などで好成績を出すと、『結果を出しているんだから任せておけばいい』という意識になって肝心な部分がごまかされる。JOCもきちんと監視すべきです」
ちなみに、千恵子氏の前任者、小林隆氏(享年51=就任期間は12年12月~14年12月)は強化本部長時代、特定のクラブに在籍せず、体操協会所属だった。