平野・伊藤ら18歳は中堅 全日本卓球でジュニア台頭の背景
「本命」が次々に散った。
18日、全日本卓球の女子シングルス5回戦で平野美宇(18=世界ランク9位・写真)が木原美悠(14=同85位)に敗戦。平野は同種目で一昨年優勝、昨年準優勝のV候補だったが、所属が同じJOCエリートアカデミーの後輩に1―4で完敗した。
「どんどん日本のレベルが上がっていて、若い選手がどんどん出てきている」
18歳が「若手」を脅威に感じる日本卓球界。男子でも“異変”が起きた。ジュニアシングルスで松島輝空(11)が高校生を次々に撃破。準々決勝まで進んだ。小学5年のベスト8は張本智和(15=同3位)に並ぶ過去最高記録。どの競技よりも選手層が厚いといえる。
ここまでジュニア育成が進んでいるのは、「遊びの延長」という競技の特性にある。Tリーグの松下浩二チェアマンもこう言っていた。
「卓球は見る競技ではなくやる競技。最初は遊び感覚で始める子がほとんど。楽しみながら競技として続ける場合が多い」
家族による影響も大きい。木原は父が、石川佳純(25=同3位)、伊藤美誠(18=同7位)、平野、松島は両親が卓球選手だった。競技を始める年齢が早い卓球は、すでに2028年の五輪を考えて選手の強化を進めている。2028年は9年後。そのとき「旬」となる選手は今の未就学児~小学校低学年にあたる。
昨秋には日本卓球協会後援のもと、教育財団が「U―7卓球選手育成事業」を発足させ、7歳以下の全日本大会決勝トーナメント進出者を集めた強化合宿(3泊4日)を実施した。
木原や松島も、1年後には後輩から追われる立場になっているか。