メジャー在籍70人以上…ベネズエラの政情不安が米球界直撃
こうした状況は、球界に直接の影響を与えている。
最初に影響を受けたのは、毎年2月に行われているカリビアンシリーズだ。1949年に始まったカリビアンシリーズは参加する国と地域のウインターリーグを勝ち抜いた球団が中南米球界の覇権を巡って争う、ラテンアメリカの球界にとって最大の催事だ。
だが、大リーグ機構はベネズエラの政情の不安定化とマドゥロ政権による米国との断交宣言により、米国籍の選手や球団職員を含む関係者の安全が保障できないと判断して、ベネズエラへの渡航の自粛を強く要請している。
実際、ベネズエラはハイパーインフレーションに見舞われ、昨夏に通貨呼称単位の変更を行って急場をしのがざるを得ないほど経済状況が悪化している。マドゥロ政権の経済運営の失敗が社会不安を増幅させ、今回の政争に発展しているのだから、今後もベネズエラの状況が直ちに好転することはないだろう。
しかも、米国がマドゥロ政権の転覆のために軍事介入すれば選手や球団職員といった民間人であっても犠牲になる可能性も皆無ではない。米国との対立が長期化すれば、ベネズエラから米国への選手の渡航が禁止されることさえある。
2018年の開幕戦の時点で74人。ドミニカに続いて2番目に多くの外国籍の選手が在籍していたベネズエラが消えれば、2019年の米国の球界はかつてなく大きな衝撃を受けることになるのだ。