アスレチックス・マレー 野球とアメフトの二刀流で丸儲け
ビーンはこれまで同じ立場に立たされたGMたちが、流出を阻止しようとしてケタ外れの好条件を出したことを知っているので、冷静に振る舞っているのだ。
GMの中には上位指名した有望株をみすみす他のスポーツに持っていかれるのは屈辱と感じ、冷静さを失って過剰に契約金を積み上げてしまう者が少なくない。
■契約金つり上げの常套手段
2000年のドラフトで、ホワイトソックスのGMはスタンフォード大の外野手ジョー・ボーチャードを1巡目で指名した。ボーチャードはフットボールのQBでもあり、NFLのドラフトで指名される可能性があった。それを警戒したGMはフットボールを断念させるため、契約金を相場の3倍となる530万ドル(約5億8000万円)に増額する羽目になった。
ジャイアンツの先発投手ジェフ・サマージャはマレーと似たケースで、大学3年終了時にカブスから5巡目で指名され契約金100万ドル(約1億1000万円)で入団した。その後、フットボールシーズンにワイドレシーバーとして大活躍。NFLのドラフトで指名される可能性が出てきたため、代理人はそれをネタに契約の再交渉を要求し、100万ドルを1650万ドル(約18億2000万円)に上積みさせた。
このような野球とアメフトの二刀流選手による契約金つり上げ案件は他にも起きているが、今回のカイラー・マレーのように全米の関心を呼んだのはこれが初めてのケースだ。それだけに、どんな結末を迎えるか目が離せない。