平成にメジャーの常識を覆したイチローと大谷翔平の“価値”
3月末の日本開幕戦を最後に27年間の現役生活に幕を下ろしたイチロー(45)。
2001年のメジャー移籍後は、2度の首位打者に10年連続でのシーズン200安打とゴールドグラブ賞受賞など、数々の実績を残した。04年には262安打を放ち、1920年にジョージ・シスラー(ブラウンズ=現オリオールズ)がマークした年間最多安打記録(257)を84年ぶりに塗り替えた。
平成の最後にバットを置いたかつての安打製造機の最大の功績は、ステロイド時代全盛で本塁打を量産する大味な野球にスピードと技術という新鮮味をもたらしたことだ。
「俊足を駆使して安打を量産するイチローの打撃はもちろん、常に次の塁を狙う走塁、相手の進塁を防ぐ守備力は攻撃的なスタイルとして高く評価されました。当時は、『野球や戦術を変えた』とも称賛されたほどでした。イチローの出現は目の肥えた米国のファンに新たな野球の魅力を知らしめたといっても過言ではないでしょう。満塁でも敬遠されたボンズ(歴代最多の762本塁打)は『野球を変えた』と評されるのに対し、イチローは『打撃を変えた』存在として位置づけられています」(アメリカ野球愛好会代表、名城大准教授・鈴村裕輔氏)