代理人ボラスはドラフト直前の今がまさに売り時と考えた
■1巡目指名選手であるうちに
スチュワートが日本で失敗するリスクを差し引いても、むこう6年間に限れば、米球界でプレーするより日本の資金力がある球団に在籍した方が収入は上回る。
では、よりによってドラフト前の5月に契約することになったのはなぜか。
昨年は1巡目の全体8位指名だった右腕だが、2019年のベースボール・アメリカのドラフト候補ランキングでは38位にとどまっている。米メディア関係者がこう解説する。
「スチュワートが昨年以上の評価を得ることが難しく、1巡目の後半か2巡目での指名になることが、ドラフト直前のこの時期になっていよいよハッキリしたのです。そうなると契約金は昨年のブレーブスの提示額である200万ドルにさえ届かない。MLBでは12年以降、ドラフト指名選手の契約金に制約が設けられ、投入可能な資金が削られた。相場は全体1位で700万ドル程度、1巡目の後半から2巡目になると160万~170万ドルくらいまで評価が落ちる。ドラフト前の今ならスチュワートは『全米1位で、なおかつ最低でも契約金200万ドルを得ることができた選手』ですが、今年のドラフトで指名されると、それ以下の選手ということが明確になる。ソフトバンクがその評価の選手に6年700万ドルを提示する保証はない。ドラフト前に契約した方が、よりよい条件を引き出せるとボラスはソロバンをはじいたのでしょう」
全米ドラ1選手の異例の決断によって、早くも全米ドラフト対象のアマ選手が心を揺さぶられ始めている。
=つづく