U18W杯も苦戦…高野連関係者が懸念する「飛ぶバット」問題
U18の結果が背中を押すかもしれない。
高校球界では今、「飛ぶバット」が全盛を誇っている。1970年代に木製バットの代用品として金属バットが導入されたが、近年は製造技術や素材が向上。反発力が増して、こすった打球でも外野の頭を越え、スタンドインする機会が増えた。その半面、金属が薄く壊れやすくなった。
「多くの高校が筋トレや食育を大事にし、プロテインも摂取させるので、選手の体は大きくなり、一昔前より格段にパワーアップしている。打球が飛ぶため、とにかくフルスイングをすればいいという打者が増えている」(パ球団スカウト)
U18などの国際大会では毎度、木製バットへの対応が課題に挙がる。今大会では石川(東邦)や韮沢(花咲徳栄)のように順応性を見せる選手はいた。永田監督も終戦後、「対応はだいぶできるようになっている」と言っていたが、好投手との対戦など、いざという場面で“金属打ち”が目立ち、8試合中6試合が1ケタ安打だった。
高野連関係者が言う。
「今のバットは飛びすぎるがゆえに、本来習得すべき打撃技術がおろそかになっている。金属バットなら右中間への本塁打になっても、木製バットではドン詰まりの右飛。ドラフト1位で指名されるような選手ですら、芯で捉えないと飛ばない木のバットに苦労している。金属バットは、反発係数に一定の制約を設ける必要もあるだろう。すぐに15万人いる高校球児のバットを替えるのは難しい。2~3年の移行期間を設け、低反発バットに変更することも考えないといけない時期に来ている」
米国では、2012年から低反発の金属バット使用が義務付けられている。今月、高野連の技術・振興委員会が開かれるが、「飛ぶバット」問題が議題に挙がるか。