スコットランド圧勝で日本8強も混沌 ラグビー情報戦も過熱
次戦(5日)で対戦するサモアにしても、現在勝ち点は5。望みは残っているため、捨て身の覚悟で日本戦に臨んでくることは必至。フィジカルは強く、個人技は高いものがあり、決して侮れる相手ではない。
■最先端テクノロジーとアナリスト
手負いの熊となったサモアが、剣が峰に立たされた状況でマッチアップする日本戦に全力を傾注してくるのは明らか。得意のフィジカルバトルを仕掛け、日本選手を蹴散らそうとするのは当たり前としても、日本の弱点をこれでもか! と執拗に突いてくるだろう。
元日本代表の大八木淳史氏も「日本の想定外の躍進にサモア、スコットランドとも本気で日本の分析に努めるでしょう。日本はアイルランド戦のような優位な試合運びができるとは限りません」と日刊ゲンダイに答えている。
「サモアのストロングポイントであるフィジカルバトルに加えて……」とスポーツジャーナリストの中山淳氏が続ける。
「近代ラグビーは、テクノロジーのスポーツと言えます。専属のアナリスト(分析官)が代表チームのスタッフの一員として働いて選手たちの運動量、心拍数、プレーの傾向など膨大なデータを集積し、チーム戦術に合わせて有効活用する。たとえばサッカーでは、スタンドから得た情報をベンチの首脳陣に通信機器を使って送ることが許されたのは2018年ロシアW杯からですが、ラグビーの場合は、かなり前からコーチボックスにいながらにしてテレビ局から4つ、5つのアングルから取った映像をパソコンに取り込み、分析ソフトを使いながら自チームのみならず、相手選手の癖や攻撃パターンを解析して目の前で戦っている選手たちに伝える――ということをやっている。日本が5日に対戦するサモア、13日に相対するスコットランドともに詳細な分析データを駆使しながら、日本に全力で挑みかかってくるでしょう」 日本は今回、外国人1人と日本人2人の計3人が分析官として代表に張り付いている。合宿ではドローンを飛ばして上空からの映像を使い、たとえばスクラムでは選手同士の位置関係、対戦相手ごとのプレッシャーのかけ方の違いなどを徹底的に調べ上げ、それをチームと選手にフィードバックしていく。選手にカメラ付きのヘッドギアを装着させ、選手目線の映像を使いながら戦術を練り直す作業も行っている。