スコットランド戦のキーマン WTB松島幸太朗の“超速伝説”
ボールを持てば、相手の視野から消えるようにステップし、ボールを蹴れば、50メートルのゴールキックも決めたという。
■伝説の100メートル独走トライ
ジンバブエ人の父、日本人の母から譲り受けた身体能力は当時から突出していた。
進学した神奈川の名門・桐蔭学園高では1年からレギュラーに定着。2年で高校日本代表に選出され、3年の全国高校ラグビー(花園)では桐蔭学園を初優勝に導いた。
準決勝の大阪朝鮮高戦で挙げたトライは今も伝説として語り継がれている。自陣ゴール前で相手ボールを奪うと、次々に敵のディフェンスをかわし、約100メートルを独走。13秒ちょっとでゴールラインを駆け抜け、トライを決めた。
「当然、卒業時には名門大学や社会人から多くの誘いがあった。それを蹴って、高校卒業と同時に6歳まで過ごした南アフリカに単身で渡って、現地の強豪クラブ『シャークス』のアカデミーに入団。南アフリカのU20代表候補にリストアップされました。でも、南アフリカで代表入りしてしまうと、規定で他国の代表、つまり、日本代表入りもできなくなる。そもそも、卒業後に南アフリカに渡ったのは、将来の日本代表入りを目指してスキルアップするため。小学生から日本で過ごし、5歳のときに国籍を取得した日本で代表入りすることにこだわり、20歳で帰国したのです」(スポーツライター)