球界の嫌われ者ピート・ローズを利用するトランプの思惑
また、大リーグ機構による永久追放処分の解除の可能性が低いとみると、2016年には野球殿堂を直接説得しようとして失敗するなど、ローズの球界への復帰はほとんど絶望的といえる。
しかし、ローズに思いがけない支援者が登場した。トランプだ。トランプが今年2月9日に「賭博をしたが賭けたのは自分のチームだけであり、数十年という代償を払った。ピート・ローズを野球殿堂に入れよう。今がその時だ!」という趣旨のツイートをしたのである。
「賭博はしたが、賭けたのは自軍だけだ」という点はローズが繰り返し述べてきた内容であり、ローズが永久追放処分を不当とする根拠でもある。いわば、トランプの発言はローズの主張を全面的に受け入れ、1989年の処分を否定するものだ。
もちろん、たとえ大統領の発言であっても、球界がにわかにローズの追放処分を解くことはないだろう。だが、これまで歴代コミッショナーだけでなく、歴代の大統領も冷淡な態度を示してきた永久追放処分の解除の問題に積極的に言及したことは、ローズには画期的な出来事だ。