著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

トランプ政権批判で…MLBにのしかかるメキシコの麻薬問題

公開日: 更新日:

 一時期、影を潜めていた米国大統領ドナルド・トランプのメキシコへの批判が高まりを見せている。

 原因は現地時間11月4日、メキシコ北部のチワワ州とソノラ州を結ぶ街道で起きた殺人事件だ。

 犠牲となったのは自動車で移動中の米国籍の一家9人で、女性3人と子ども6人が犯罪組織とみられる集団に殺害された。

 トランプは事件の背景にメキシコの麻薬組織が関与しているとし、ツイッター上でメキシコが米国の支援を受けて麻薬組織を撲滅すべきだと発言している。メキシコに具体的な行動を促すトランプの発言の背景には、これまで何度も麻薬組織への対策を求めてきたにもかかわらず、メキシコ側の動きが迅速ではないことがある。実際、メキシコ当局による麻薬組織への対策は迫力を欠く。なぜなら2006年から6年間続いたフェリペ・カルデロン政権は軍を動員して麻薬組織の撲滅を推進したものの、組織側の反撃もあって数万人とされる死者を出し、治安の悪化を招いたからだ。

 警察機構や中央政界にも麻薬組織からの資金提供があるとされることもメキシコの動きを鈍くしている。「前政権時代に大統領に賄賂を渡した」「地方警察と麻薬組織は癒着している」といった類いは映画や小説の中の話ではないのだ。

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