著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

芸能人と違う 不倫が瑕疵にならない阪神・西勇輝の商品性

公開日: 更新日:

 渡部建佐々木希と結婚したからこそブランド価値が向上したという面は拭い去れず(それがなかったら多くの中堅芸人の中の一人でしかなかった)、東出昌大もまた、杏と美男美女夫婦を形成していたからこそ、俳優業はともかくとして好感度重視のCM仕事が増えた面はあったはずだ。木下優樹菜に至ってはそもそも私生活こそが最大の商品であったため、プライベートの不祥事はそのまま商品の瑕疵になってしまう。

 しかし、西の場合、彼が稼ぐ2億円(推定)もの年俸や、彼のインスタグラムを支える14万人近くのフォロワーのほとんどは、西の私生活公開によるたまものではない。野球で見せるプレー(ピッチング)こそが西の最大にして唯一の商品であるため、そのプレーに瑕疵がないのならファンは私生活の不祥事なんて気にならないのだろう(犯罪は別だが)。要するに、不倫問題でしばしば語られがちな「しょせんは当事者問題」という本質的論点から逸脱するほどの周辺要素がないのだ。

 そう考えると、文春砲の喧騒の中で西が演じた完投劇はその商品に瑕疵がないことを世間に証明する一番の好手だったわけで、それを成し遂げた西の精神力と底力はすさまじいものがある。あそこで打たれていたら、まちがいなく批判の声は大きくなっていたことだろう。スポーツ選手にとっての最大の火消し薬はスポーツの結果なのだ。

 その点、芸能人の場合は本業の結果、つまり芸人ならネタの評価、役者なら演技の評価も、スポーツの試合結果に比べると恣意的な解釈を含む曖昧な評価になってしまうから厄介だ。スポーツは本当にわかりやすい。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド