交流試合は球児のため?…高校野球だけ“特別扱い”の違和感
新聞を手にとって、失笑した読者もいたのではないか。
甲子園交流大会が開幕した10日付の日刊スポーツとスポーツニッポン(ともに東京版)が1面で甲子園を大々的に取り上げた。驚いたのはその大見出しだ。ニッカンは「特別な甲子園 きょう歴史に残る球児の夏が始まる」、スポニチは「特別な甲子園が始まる」と、この大会を殊更、美化しようと躍起になっているのがよくわかる。
とはいえ、全国ではコロナ禍が猛威を振るい、酷暑による熱中症の懸念もある。招待校はコロナと熱中症という二重のリスクに四苦八苦しながら参加しているのが実情だ。
「球児のため、と大義名分を掲げるウラで、大会をお涙頂戴のドラマで美化するスポーツマスコミと高野連の思惑が透けて見える」とは、作家の吉川潮氏。
「他の学生スポーツの大会が中止になる中、野球だけがすべての都道府県で独自大会を行い、全国大会を開いている。スポーツマスコミは野球だけが特別扱いされている現状を掘り下げることもなく、球児を同情の目で見たり、持ち上げたりして、美談仕立ての提灯記事ばかり書いている。高野連も球児救済を前面に出せば、賛同を得られると思っているのでしょうが、それは本当の愛情とはいえない。コロナ禍で一般の人たちが帰省を自粛する中、数十人の団体で移動し、宿泊もする。クラスターが出たときに責任を取れるのか。酷暑による熱中症が懸念される中で真昼に試合をやる神経も分からない。本来なら大人として、こんなときに野球をやってはいけないとストップをかけるべきでしょう」