大坂“満身創痍”で全米OP3回戦進出 活力は故コービーの信念
生前のコービーと親交
スポーツに人種差別問題を持ち込んだことに対し、自身のSNSには心無いファンから批判的なコメントが寄せられた。痛めた左太ももの状態も思わしくなく、心身ともに決して万全でない中、今大会への出場を決めたのは、米プロバスケットボールNBAのレジェンドの存在も無関係ではない。
今年1月にヘリコプターの墜落事故で非業の最期を遂げたコービー・ブライアント氏(享年41)だ。大坂は、同じスポンサー企業のつながりもあって、生前のコービーと親交を深めてきた。昨年の全米オープンでは大坂の試合をコービーが観戦に訪れたこともあった。
大坂は、コービーの生きざまを表現した「マンバ・メンタリティー」に強く感銘を受けている一人だ。「ブラックマンバ(黒い毒蛇)」と自称するコービー本人の自伝などによれば、マンバ・メンタリティーとは「強い意志」「極限の集中力」などを意味する。
現役時代のコービーは常に「強い意志」を持って練習に取り組み、レイカーズではシャキール・オニールら当時の同僚と衝突を繰り返しながらも、勝利への執念はぶれることなく、チームを3連覇(1999―00年~01―02年)に導いたのは有名な話だ。
今大会の大坂は土居美咲(29)との1回戦で、3月にケンタッキー州で白人警官によって射殺された黒人女性の名前がプリントされた黒いマスクを着用して入場。大会を通じて黒人差別に抗議する姿勢を見せているのも、人権意識の高かったコービーの影響を少なからず受けたのだろう。
コービーが観戦した昨年の大会は4回戦で姿を消したが、今回は果たして。