追憶のマラドーナ 90年W杯ブラジル戦で見せた一瞬の輝き
非常に興味深かったのが、地中海に浮かぶシチリア島のパレルモ、サルデーニャ島のカリアリの2会場にグループFが割り当てられたこと。強豪のイングランド、オランダのサポーターはフーリガンの悪名が鳴り響いており、組み合わせ抽選会の後、世界中で「うまく(凶暴なフーリガンのいる国を)島封じにした」と言われたものである。
筆者は、グループリーグの期間中はミラノを取材の拠点とし、決勝トーナメント以降はベースをローマに移して取材活動を続けることにした。
■体が重そうに感じられらたマラドーナ
そしてメキシコで文字通り<世界一>となったマラドーナである。
所属していたイタリアのナポリ(84~91年)を初のセリエA優勝に導くなど〈王様〉として君臨していたが、対戦相手の執拗なラフプレーによって負傷が絶えなかった。
そして迎えたイタリアW杯。開幕戦に登場した王者アルゼンチンは、カメルーン相手に0-1で敗れてしまう。驚異的な身体能力を誇るカメルーン選手と比べたせいかも知れないが、マラドーナの体は重そうに感じられた。