テコンドー山田美諭 大ケガから復活した「日本最強女子」
山田美諭(テコンドー/27歳・城北信用金庫 所属)
「祖父は五輪関係の監督をしていました」
山田の祖父は1980年代に五輪アルペンスキーチームの監督を務めた故・松井貞彦氏だ。そしてその息子、現在は空手道場などを経営する父・啓悟氏のもと、兄妹の長女として愛知県で誕生。
アスリートの血を引く山田は、父が開く道場で3歳からコンタクト空手に親しみ、「親戚の人ですら苦手なくらいの人見知りで、いつも兄の後ろに隠れていた」という幼少期を過ごした。
公立小学校から中学受験を経て、中高一貫の女子校・聖霊中へ進学すると、コンタクト空手に加え、テコンドーを始めることになる。
「身長は小学6年生で161センチくらいはありましたが、とても華奢で体重が軽かったんです。学年が上がるにつれて、ガタイの良い子が有利になっていくので、私はだんだん勝つのが難しくなってしまい……」
新たな挑戦には父と兄の影響が大きかった。
「実は兄も同じ状況で、すでにテコンドーに転向していました。そうしたら父も五輪種目であるテコンドーに魅力を感じたようで、指導者の資格を取って新たに道場まで開いたんです。そのタイミングで、私が空手の足技を得意としていたこともあり、(父から)勧められるままに何となく……、というのが、きっかけですね。しかし、最初からぼんやりと五輪が目標にありました」
競技開始から3年目、中学3年で全日本ジュニア大会優勝。高等部へ進むと、2年(53キロ級)、3年(46キロ級)で全日本選手権を連覇。卒業後はテコンドーの強豪、大東文化大へ入学し、さらに3年連続で日本一(49キロ級)に輝いた。