2010年W杯 南アフリカの地で違和感を拭い切れなかった
安彦考真は2006年に元日本代表MFの北沢豪氏(日本サッカー協会理事)の個人マネジャーとなり、JICAの仕事でアフリカや東南アジアを巡ったり、サッカースクール発足に関与したり、多忙を極めた7年間だったが、あくまで自身は黒子に過ぎないことを痛感させられた出来事が……。
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岡田武史監督(FC今治代表)率いる日本代表が、16強入りをつかんだ2010年南アフリカW杯。北沢氏がテレビ解説を務めた関係で現地に帯同した。
「ある有名アーティストが観戦に訪れ、『北沢さんに挨拶したいのでハーフタイムにVIPルームまで来ていただけないか』と事務所の社長から打診を受けました。でも、解説業務はなかなか多忙で約束できない。そこで『僕らが先に伺って一緒に見ることもできますよ』と声をかけたら、『いいです』と一蹴されました(苦笑い)。あくまでお目当ては北沢さん。それは当たり前だし、分かっていたはずなのに『俺って何してるんだろう』と思ってしまいましたね」
サッカースクール「FOOT」の立ち上げも少年国際サッカー大会の運営も手掛けたが、誰も「安彦の仕事」とは見てくれない。通訳時代と同じように「自分が桧舞台に立って輝きたい」と渇望するばかり。