落合監督の「虫けらノック」で井端、荒木、森野は成長した
「オレ流は全然練習しない」
球界ではそんな噂もあった。実は真逆だった。三冠王3度の落合博満さんは、誰も見ていないところで猛練習をしていた。
そんな落合監督の下、2004年オフに縁もゆかりもない中日の捕手コーチに就任した。とにかく練習量が多い。現役時代の猛練習説はウソではなかった。最初の秋のキャンプで、それが分かった。
まず驚いたのは打撃練習だ。グラウンドや室内練習場など10カ所ほどでローテーションを組んで6~8時間、ぶっ続けで行うのだ。そしてケガに厳しい。故障した者はすぐに名古屋へ強制送還。期間中にリタイアしたのは5人ほどで、中には有望株もいたが、翌春のキャンプは一軍に呼ばなかった。それどころか、シーズンでも起用しないなど徹底していた。ついてこられないなら置いていく。まずは秋の段階でふるいにかけていた。
「元気にグラウンドに出るのは選手の義務。それができないのはプロじゃない」というのが落合監督の考えで、生き残った者だけが次のステージ、春のキャンプ一軍メンバーの切符を勝ち取ることができた。