落合監督の「虫けらノック」で井端、荒木、森野は成長した
■三塁に守らせ一塁に打つ
この頃は井端弘和、荒木雅博はレギュラーだったが、森野将彦はまだ控え。35歳の立浪和義を抜かないといけない立場だった。井端、荒木、森野は特にしごかれた。
春のキャンプでは、朝のウオーミングアップ時にすでにユニホームは泥まみれ。早朝から2時間の特守をこなした後だったのだ。
通常の練習でも落合監督が自らノックバットを握るケースがあった。荒木、井端、森野は三塁の位置に守っている。それなのに、なぜか一塁方向にノックを打つ。これを全力で捕りに行かせる。高代延博野手総合チーフコーチは私に耳打ちしてくれた。
「あれは『虫けらノック』って言うんだよ」
打者が打った瞬間、どこに飛んだとしても全ての打球に反応し、捕りに行く練習だった。アマチュア時代は「全員でボールを追え」とよく言うが、それを地道に実践した練習だ。基本的には無言で打ち続けるのだが、フラフラの3人が疲れて追えないと、珍しく言葉を飛ばす。