組織委は内部崩壊…“ブタ演出案”佐々木氏辞任で脆弱さ露呈
近著に「オリンピックの終わりの始まり」(コモンズ)があるスポーツジャーナリストの谷口源太郎氏がこう言う。
■森独裁体制の弊害
「約3500人の職員が働く組織委は、自治体や民間企業からの出向者によるいわば『寄せ集め』です。理念や思想といった共通の旗印がなければ組織としてまとまらないものですが、組織委は長く森前会長の独裁体制にあり、その森氏にはなぜ五輪を開催するのか理念や思想が決定的に欠けていた。佐々木氏と森氏の結びつきは強く、安倍首相がマリオに扮した2016年リオ五輪閉会式の演出も森氏の発案を佐々木氏が具現化した。その佐々木氏が同じように女性を侮蔑して辞任に追い込まれたのは偶然ではありません。ともに、五輪を、人を、商品としか見ていない。根本には森氏がつくった理念なき組織の問題があり、その結果が今回の内部情報の流出であり、それによって発覚した不祥事でしょう。良くも悪くも重しになっていた森氏が去り、脆弱だった組織の体質が表面化した。幹部がそれぞれの思惑で醜い主導権争いをしているさまが透けて見える。橋本会長は就任の際、『ワンチームになって信頼回復』と言っていましたが、組織は一枚岩どころか内部崩壊状態です」