米で横行するトンデモ訴訟 メジャー復帰目論み裁判で売名
被害者意識に凝り固まった元マイナーリーガーが、自分をメジャーリーガーにしなかったのはフェアではないとして球団を訴えた例もある。原告はヤ軍のマイナーに5年在籍したギャリソン・ラシターという元遊撃手で、訴えられたのはヤンキース。ラシターは「ヤンキースはジーターを大事にするあまりマイナーの優秀な遊撃手だった私のメジャー昇格を妨げた」と主張し、37億円の損害賠償を求めた。ラシターはマイナーの通算打率が2割4分4厘というダメ選手で、2A以上で一度もプレーした経験がない。それなのに勝ち目のない訴訟を起こしたのは売名目的としか思えない。こんなくだらない訴訟でも弁護士の腕がよければ裁判所は受け付けてくれる。この訴訟は裁判所で数回審理が行われた後、当然、棄却されている。
一見トンデモ裁判に見えるが、実際は重要な意味合いを持つものもある。ここ数年、元マイナー選手がMLBを相手取って「自分たちはマイナーの選手時代、法定最低賃金以下の劣悪な労働条件で働かされた」として、不当に安く使われた分のサラリーの支払いを求める訴訟が数回起きている。これまで裁判所はプロ野球選手を一般労働者と同列に扱えないとして訴えを退けてきた。だが、ここにきて多くのメディアがマイナーの選手が置かれた弱い立場に関心を寄せるようになっており、遠からず元マイナー選手たちの訴えが認められる可能性が出てきた。