低レベルな選手育成 松山マスターズVに浮かれている場合か
日本人の制覇は夢かと思われていた「マスターズ」に松山英樹(29)が優勝して、日本中が歓喜の渦にのみ込まれている。これで「第2の松山誕生の道筋がつくれた」「日本に再びゴルフブームが訪れる」「低迷する男子ツアー復興の兆し」などと大騒ぎだ。
だがゴルフファンや業界には申し訳ないが、現状を見る限り、こうした期待はぬか喜びに終わりそうだ。というより、これから松山と日本との距離はますます離れていくことが予想される。低迷する男子ツアーの復興と、ファンの拡大は、松山が日本ツアーに出場すれば、の話だ。
だがその可能性は限りなく低くなった。マスターズ優勝で得た松山の優勝賞金は207万ドル(約2億2770万円)。日本大会の10倍に当たる。おまけにマスターズの永久出場権を獲得し、他のメジャー3大会(全米オープン、全英オープン、全米プロ)の5年間シードも獲得した。今後はメジャー中心の年間スケジュールを組むことになり、米国にじっくり腰を据えるのは確実で、日本ツアー出場どころではないのだ。
賞金だけではない。かつて松山が帰国して日本ツアーに出場したとき、「日本ツアーはコースのレベルも、選手層の厚さも米ツアーとは雲泥の差がある」と指摘したことがある。