著者のコラム一覧
後藤逸郎ジャーナリスト

1965年生まれ。毎日新聞大阪経済部次長、東京本社特別報道グループ編集委員などを経て現職。著書に「オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側」(文春新書)。

「バブル方式」は虚構にすぎない 全豪テニスでも感染者が

公開日: 更新日:

 東京2020オリンピック・パラリンピック大会の最大のリスクが、選手間の新型コロナウイルス感染だ。

 日本政府と東京都、組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)は「安全・安心な大会」を実現すると主張するが、根拠としている選手の隔離と検査による「バブル方式」は、虚構に過ぎない。

 バブル方式の成功例はテニスの全豪オープンだ。選手はチャーター機で入国し、2週間のホテル隔離生活の間、毎日PCR検査を実施、大会を無事終えた。潜伏期間を過ぎた陰性の選手を隔離し続けたが、それでも選手や関係者から感染者は発生した。

 一方、東京大会のバブル方式は全豪と似て非なる代物だ。各国の選手はそれぞれ出国時に陰性証明を取り、日本入国後に検査する。現在、日本国内で英国型、インド型の変異株が感染拡大しているのは、この検査をくぐり抜けた結果だ。無症状感染者の選手も同じリスクがある。

 さらに、他の入国者と異なり、選手は入国後2週間待機を免除され、練習を行える。陽性者がいれば、練習場所でクラスターが発生するリスクは避けられない。そもそも日本は新型コロナウイルスが存在しない“清浄国”ではなく、選手は感染リスクにさらされ続ける。

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