組織委はブッ壊れた?五輪への疑問に“スガ答弁”連発の醜悪
菅首相は「安全・安心な大会」を繰り返し、五輪開催に猪突猛進。しかし、選手向け行動規則集「プレイブック」の出来は悪く、「安全・安心」を担保するには程遠い。大会組織委員会も無理に無理を重ねて機能不全に陥り、“スガ化”に拍車がかかる。こんな調子でパンデミック下の五輪を遂行できるわけがない。
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初版を更新し、細かな感染対策などを示した「プレイブック第2版」は4月28日に公表されたが、世界から悪評ふんぷんだ。米医学誌は「科学的に厳格な評価に基づいていない」とし、五輪開催による感染拡大を警戒している。
■要の「毎日検査」と「バブル方式」はザル
医療関係者が懸念するのは海外選手の「毎日検査」だ。プレイブックによると、最初は唾液抗原検査を実施し、不明確か陽性の場合にPCR検査を行うとしている。
PCR検査と異なり、抗原検査はウイルス量が多くなければ、陽性を感知できない。選手はウイルス量が少ない無症状者である可能性が高く、抗原検査は不向きだ。この疑問点を具体的に組織委に尋ねてみると――。
〈プレイブックはコロナの状況が変化する中で知見を得ながら科学的に内容の更新を行ってきたもの。(略)コロナ禍においても世界中で安全に開催されてきた数多くのスポーツイベントの経験が盛り込まれている。また、プレイブックは、(略)オールパートナーズタスクフォースで重ねられてきた議論も踏まえて作成されている〉
“原理原則”の抽象論を並べ立てるだけで質問と回答が全くかみ合わない。何かの間違いかと思い、かみ砕いて再質問すると〈前回お答えした通り〉とにべもない。
さらに、関係者を隔離し、外部との接触を断ち切る「バブル方式」もうまくいかない可能性がある。
全選手を一様に指定施設にカンヅメにするのではなく、滞在先の自己手配を認めているからだ。しかも、GPSでの行動履歴の確認も義務付けていない。いったい、どんな管理体制でバブルを維持するのか。改めて組織委に聞くと――。
〈プレイブックに記載している対策は、コロナの状況が変化する中で、知見を得ながら科学的に内容の更新を行ってきたもの。(略)世界中で安全に開催されてきた数多くのスポーツイベントの経験が盛り込まれた。(略)改訂にあたっては、感染症対策に万全を期すべく、WHOや感染症の専門家の意見を今まで以上に積極的に取り入れていく所存。(略)その他、施設関連、自己手配ホテルの詳細は非公開となります〉
ちょっとクラクラしてくる。質問とは関係ないことをダラダラとしゃべり、肝心なことには答えない――まるでスガ答弁かと錯覚しそうな回答である。
強行に無理重ね、残業地獄が「スガ化」に拍車
心配になってくるのは組織委の疲弊ぶりだ。メディアの質問にとんちんかんな回答しか返せないほど疲れ切っているのではないか。過去に日刊ゲンダイは組織委に何度も質問しているが、これほどヒドい答えだった記憶はない。
ある大会関係者は「(組織委は)ここ半年くらいは、月の残業時間が150~200時間に上る職員もいるほどです」と日刊ゲンダイに証言する。過労死ラインを優に超え、土日出勤、深夜労働、早朝帰宅が常態化。五輪開催が近づくほどに「残業地獄」に拍車がかかっているという。
五輪強行に無理を重ねる菅政権が、ムチャぶりを押し付けてくるたび組織委はクタクタ。五輪開幕まで50日を切り、主催者側の「スガ化」が進むほど、まともな大会とコロナ対策は遠のくばかりだ。