白鵬45回目Vで現役続行示唆も品格ゼロ! 相撲協会激怒で親方株「継承不認可」が急浮上
まるで他の格闘技から技を引っ張ってきたかのような内容だった。
横綱白鵬(36)が史上最多の45回目の優勝。千秋楽は綱とりをほぼ確定させた大関照ノ富士と全勝同士の相星決戦となった。
■仁王立ちでバチバチ
2017年に日馬富士が起こした暴行事件を仕組んだ白鵬と、事件当日にヒザが悪いのに正座をさせられた大関。因縁のある両者は立ち合いからにらみ合い、時間いっぱいとなっても互いに仁王立ち。火花がバチバチと飛び散っていた。
照ノ富士が先に腰を下ろして両手をつくと、白鵬は右手を先につけてゆっくりと左手を下ろし始めた。観衆の固唾をのむ音すら聞こえんばかりの雰囲気だったが、しかし、白鵬の「最初の一手」は誰もが想像しないものだった。
土俵に軽くつけた左手の手のひらを無造作に照ノ富士の顔面に突き出して意表を突くと、次の瞬間には右のエルボー。フェイントからの強烈なヒジ打ちを顔面に食らわせると、大関の体がグラリと揺らいだ。それでも立て直す照ノ富士に対し、今度は張り手。負けじと応酬してくる隙をついてまわしを掴み、最後は強引な小手投げでライバルを破った。
勝利の瞬間は「してやったり」とばかりに派手なガッツポーズを見せ、咆哮した白鵬。優勝インタビューでは「これで“進める”のかなと。進退の意味はよくわからなかったけど、進むか止まるかと理解できた。これで進めるということですから」と、今後の現役続行を示唆した。
審査を通らない限り親方にはなれない
とはいえ、2日続けて横綱にあるまじき相撲を取ったのも事実だ。
14日目の正代戦では、立ち合いで徳俵ギリギリまで下がる奇策。八角理事長(元横綱北勝海)が「奇襲は弱い者がやるもの。優勝回数の多い横綱のやることではない」とバッサリなら、芝田山親方(元横綱大乃国)も「13日間積み上げてきたものをすべて壊した」と非難囂々。
解説者の北の富士氏(元横綱)は14日目の取組について、中日スポーツのコラムで「今までは白鵬の理解者と自負してきたが、この日を限りでやめることにした」とつづり、さらに「愛想が尽きた。44回も優勝してもまだあのような汚い手段で優勝したいのか」と憤慨。この日もNHKの解説で「えげつない」と絶句していた。
協会幹部や角界の重鎮らの神経を逆なでするかのごとき白鵬の振る舞い。その根底にあるのが、「誰もオレを処分なんてできない」というおごりだろう。
これまで万歳三唱、観客への黙とう強要、負けての物言い要求などをして、協会に叱責されたことは数知れず。休場癖もひどくなる一方で、横綱審議委員会からも引退勧告の次に重い「注意」をされている。にもかかわらず、誰もこの横綱のクビに鈴をつけることができなかった。土俵に上がれば結果を残してきたからだが、今回は相撲そのものでミソをつけた。協会幹部が口を揃えて白鵬の取り口をここまで批判したのは初めてだ。
ある中堅親方は「さすがにこの2日間の相撲で協会も堪忍袋の緒が切れたのではないか」とこう続ける。
「張り差しもそうだし、かち上げも顔面を狙う技ではないとはいえ、相撲技です。しかし、本来横綱とは受けて立つ立場。相手の立ち合いを恐れて徳俵まで下がるのは横綱であることを放棄したも同然です。フェイントからの顔面エルボーなどはそもそも相撲ですらない。表彰状を読み上げる八角理事長も、いつも以上に棒読みだったでしょ(苦笑い)。相当ハラワタが煮えくり返っていると思います」
■年寄資格審査委員会
そんな横綱に対して囁かれているのが、親方株継承の不認可だという。
白鵬はすでに日本国籍を取得しており、「間垣」株の取得に動いているといわれている。しかし、相撲協会の定款第9章第47条3によれば「年寄名跡を襲名する者は、年寄資格審査委員会で審査した結果に基づき理事会で決定する」とある。現在、年寄名跡=親方株は協会の一括管理。審査を通らない限りは、親方になれないのだ。
「白鵬は過去、協会の幹部に『おまえの優勝回数なんてタダの数字なんだよ!』と罵倒されたそうだが、それでも実績は実績。素行や品格とは別に、一人横綱として土俵を引っ張ってきたことは協会執行部も評価している。普通ならば親方株の継承不認可はありえないが、今場所の14日目、千秋楽の相撲はそうした功績を捨て去ったに等しい。指導者として技術や稽古方法はともかく、白鵬が弟子に力士としての精神や立ち居振る舞いを教えるのは悪い冗談でしかない。八角理事長は常々、『大相撲は勝敗もそうだが、何より伝統文化の面が強い』と話している。白鵬はむしろ伝統や文化を破壊しかねない存在ですから」(前出の親方)
いまの白鵬にとって一番こたえるのが、親方になれないこと。協会は親方株不認可という伝家の宝刀を抜く可能性もあるというのだ。