フェンシング男子エペ団体「金」見延和靖<1>番狂わせに見えた激戦は「当たり」のトーナメントだった
■後輩に食事の誘いを断られる いい意味で「フラットな関係」
フェンシングの団体戦は4人が1チームとなって戦い、そのうち1人はリザーブメンバー。東京五輪では「一度リザーブと交代すると、退いた選手はそれ以降の試合に一切出られない」という特別ルールがあった。見延は1回戦の米国戦の第8ピリオドでリザーブの宇山賢(29)と交代。決勝まで応援に徹した。
「このルールは難しかった。普段(の試合)だと僕たちは全員で戦うチーム。交代してもどこかで戻してという感じでやってきた。1回しか代えられないとなると、賭けに近いところがあるので、その判断を見誤ると取り返しのつかないことになる。とはいえ、試合の流れを読むと代えるべきだったと感じています。点差をつけられた段階で(自分の)体の硬さやこわばりが残っていたので、流れを変えるとしたら、あそこが最後のチャンスでした。あそこで宇山選手を投入するのは大きなメリット。彼はトリッキーなプレースタイルで大きく流れを変えてくれる、起爆剤となる存在なんです」
メンバー4人の中で見延は唯一、リオで五輪を経験した最年長者。大会期間中は貴重なコミュニケーションの場として、食事は常に同じタイミングで取っていたという。