大谷翔平のハートに移籍願望の火!エ軍のPS進出は絶望的、本塁打王争うゲレロとは雲泥の差
「(チームは)ポストシーズンを狙える位置にいないですし、モチベーションを高く維持していくのはチームとしても個人としても難しい」
エンゼルス・大谷翔平(27)は、レギュラーシーズン残り約1カ月となった今月上旬、こう言って複雑な心境を吐露している。
エ軍はシーズン開幕早々から故障者が続出。中でも大谷以外は勝ち星を計算できない投手陣は崩壊状態だ。前半戦中盤には早くもポストシーズン(PS)進出が厳しくなった。
日本時間15日現在、ア・リーグ西地区首位のアストロズから14ゲーム差の4位と低迷。地区優勝はもちろん、ワイルドカード(WC=2位以下の最高勝率2チーム)によるPS進出も絶望的だ。
チームは主力選手を相次いで放出、若手を積極的に起用している現状に、大谷は「来季を見据えた戦いになるので、一試合一試合大事にやっていくしかない」と努めて前向きに話してはいた。
■モチベーションは雲泥の差
そこへいくと、44本塁打の大谷を追い抜く45号を放ったゲレロ(22)のブルージェイズは首位レイズと9ゲーム差のア・リーグ東地区2位タイながら、ヤンキース、レッドソックスと三つ巴の熾烈なWC争いを繰り広げている。
ゲレロが直近10試合で6本塁打と爆発、打率.317(リーグトップ)、103打点(リーグ3位)と三冠王を狙える位置につけているのは、2年連続PS進出がかかっているチーム状況と無関係ではない。「モチベーション」は大谷と雲泥の差なのだ。
大谷は投げて9勝(2敗)。走ってもリーグ4位の23盗塁。まさに八面六臂の活躍を見せているものの、それがチームの勝利に結び付かない。
チームが弱くても、マイペースで個人成績だけを追い求める選手も中にはいる。チームが毎年のように最下位争いをしているのに、淡々と安打を量産し続けた日本人選手もかつてはいた。選手はあくまで置かれた環境でベストを尽くすべきであっても、簡単に割り切れるものではない。大谷が「モチベーションを高く維持していくのはチームとしても個人としても難しい」と嘆くのも、ある意味、もっともなのだ。
「世界一になるのが一番」
大谷は「いい成績を残してポストシーズンに勝って、世界一になるのが一番の目標」と言ったことがある。
野球がチームスポーツである以上、選手の最大の目標はワールドシリーズに勝つことだ。渡米して4年目。個人的に「いい成績」を残しているのに、世界一はおろか、ポストシーズンすら見えてこない。「モチベーションを高く維持するのが難しい」ことはゲレロとの大きな違いだし、それゆえ9月に入って2本塁打という失速を生んでいるのかもしれない。
メジャー入りする時点では、アメリカでも二刀流を継続することが大前提。9月に「モチベーションを高く維持」できるかどうかという以前の問題だった。
メジャーで投打の本格的な二刀流は、かのベーブ・ルース以来。日本で投打に優れた力を発揮していただけにあまたの球団が獲得に名乗りを上げたものの、二刀流には懐疑的な見方をするところがほとんどだった。だからこそ大谷は自分を長い目で見て起用、辛抱強く二刀流で使い続けてくれそうな球団に行こうと考え、ファンやメディアがシビアで、すぐに結果を求められる大都市の常勝球団を嫌ったのだろう。大谷との2次選考の面接にすら進めなかったヤンキースのキャッシュマンGMは、「我々がビッグマーケットをもっていて、東部にあることは変えられない。この街やファンには誇りをもっている」とコメント。それなら西海岸か小規模都市でプレーすればいいじゃないかと言わんばかりの捨てゼリフまで吐いた。
■入団時と異なる二刀流の評価
しかし、打者として本塁打王を争い、投手として2ケタ勝利に王手、ベーブ・ルースの「2ケタ本塁打に2ケタ勝利」を103年ぶりに達成しようかといういまは、メジャーの大谷に対する評価は百八十度異なるし、本人も二刀流に自信をもったに違いない。個人で「いい成績」を残したのだから、あとは「ポストシーズンに勝って世界一」になることを考えるのではないか。
このまま順調にいけば、メジャー4年目の大谷がFA権を取得するのは再来年になる。ここまで3年間、チームはいずれも負け越して西地区4位。そして今季も、同じように低迷している。プレーオフ進出のかかったライバルが勝負どころで本塁打を量産する姿に、改めてモチベーションを維持する難しさを痛感したはずだ。エンゼルスがこのまま低空飛行を続けるようなら、4年目のオフには手を挙げて他球団に移籍する可能性も出てきた。