ジャンプ小林陵侑が五輪2冠ならあるのか? 国際スキー連盟“日本潰し”の理不尽ルール変更
ノーマルヒルで金メダルを手にした小林陵侑(25)。11日のラージヒル予選は128メートル(121.3ポイント)を飛び9位。
「明日もビッグジャンプを見せられたらいいと思います」という12日の決勝で個人戦2冠、14日は団体戦のメダルに挑む。
そこで懸念されるのが「小林潰し」だ。1998年長野五輪では、船木和喜が個人のラージとノーマルで金・銀を獲得。原田雅彦がラージ銅、団体も金を取り、日本勢の強さを見せつけた。その後、スキー板の長さやスーツの仕様が変更され、これが「日本潰し」といわれた。
ちなみに、ノルディック複合も、ジャンプが強い日本勢は90年代に五輪の団体連覇や荻原健司のW杯個人総合3連覇などが嫌われ、ルール変更となった。
ならば、今季のジャンプ週間を制し、W杯はもっか7勝で五輪個人戦2冠なら、「小林潰し」はあるのか。スキージャンプ取材歴30年の岩瀬孝文氏(国際スキージャーナリスト)はこう言う。
「長野五輪の時は、船木、原田だけでなく、団体メンバーだった岡部孝信、斎藤浩哉、小林の師匠である葛西紀明など、W杯や世界選手権で上位争いができる選手が多数いた。ジャンプの本場欧州では、大会会場に向かう列車でドイツ人とオーストリア人のファンがビールを飲みながら『強いのは俺の国だ』と言って、ケンカをするくらい熱狂的なファンがいる。そんなジャンプファンにとって日本選手ばかりが強いことはおもしろくないのです。当然、大会のチケット収入やテレビのスポンサーなどにも影響が出ますから、国際連盟もルール変更に動いたのです。今は小林陵侑の力が突出している。一人を意識したルール変更はないでしょう」
今大会のジャンプ競技は、高梨沙羅が失格になった混合団体のスーツ規定違反者続出の問題が世界中に波紋を広げ、連盟に対する批判の声が高まっている。つまらないルール変更より、身内の改革こそ求められるのではないか。