新庄監督の「育成」で問われ始めた日本ハムのドラフト戦略 結果欲しさ即戦力重視が今アダに

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「いつもの通り。この打順でいったら面白い試合ができるんじゃないかなっていうオーダー」

 試合後の新庄剛志監督(50)がこう説明した布陣で臨んだ27日の広島戦は4対2で勝利。キャンプ最後のオープン戦を白星で締めくくったこの日の日本ハムは、二回に相手投手の暴投から1点を先制。四回に2年目の今川優馬(25)が2ラン、七回に王柏融(28)がソロ本塁打を放った。

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 チームの安打数は計6本。内訳は前述の2人の他、4年目の万波中正(21)と田宮裕涼(21)、ルーキーの水野達稀(21)と速水隆成(24)が放ったもので、若手が存在感を見せた試合でもあった。

■シーズン中もガンガン入れ替え

 この日のオープン戦がそうだったように、新庄監督が打順やポジションまでシャッフルしているのは、選手のあらゆる可能性をゼロから探るためだろう。

 陸上十種競技元日本王者の武井壮氏(48)、5年連続盗塁王の赤星憲広氏(45)、ハンマー投げ五輪金メダリストの室伏広治スポーツ庁長官(47)といった各界のスペシャリストを臨時コーチに招聘したのも、選手の能力をフルに発揮するためだ。

 フラフープを使った送球練習や、アクロバチックな走塁練習など、独自路線で選手の育成に力を注いでいた新庄監督は試合後、その成果を聞かれると「分からん、分からん」と即答。「今ね、その研究をしているところだから。みんなガンガン入れ替えるし、それはシーズン中もする。(そうやって)確認作業をしてメンバーを集めてくる」と続けた。

■少し停滞している

 日本ハムが新庄監督を抜擢した大きな理由であり目的は、つまり現有戦力の底上げ。川村浩二球団社長(61)は1月31日付毎日新聞夕刊のインタビューで、過去5年は2018年に3位となった以外、いずれも5位と低迷したことについてこう言っている。

「大型補強をせずに自前の選手を育て上げる『スカウティングと育成』の方針が、北海道移転後の順位を押し上げたのは間違いありませんが、育成が課題となっています。これまではフリーエージェント(FA)で去る選手がいても、若手が台頭していましたが、少し停滞しているのかなと」

 本拠地を北海道に移した04年以降の13年間は、Aクラス10回にリーグ優勝5回。主力がFAなどで抜けても、ドラフトで獲得した若手が穴を埋めた。ときには主力を放出、強引に穴をあけて若手を抜擢する“促成栽培”によって結果を出してきた。それもこれも球団社長の言う「スカウティング(ドラフト)」と「育成」の2本柱が機能したからだが、ここ5年は下位に低迷。その原因は「育成」が滞っていることにあると川村球団社長は言うのだ。

即戦力獲得でバリバリ主力は伊藤大海だけ

 新庄監督は選手に「この1年は一軍のトライアウトのつもりでやってもらいたい」と話しているという。そうやって1年かけて「育成」に力を注いだ結果、花が咲くのであれば問題はない。

 しかし、「育成」以前の「スカウティング」に問題があるとしたら、どうか。つぼみは膨らんでも花は咲かない。いや、1、2本開花した程度では結果につながらないのではないか。

 新庄監督の言う「投手3人、野手4人のタレント」をつくるだけの素材でなければ、いくら水をまこうと、いい肥料をやろうと「タレント」は育たない。

「ここ数年のスカウティング、ドラフト戦略が以前と変わったことが気になります」と、日本ハムOBがこう続ける。

「日本ハムはかつて、どちらかといえば高校生メインのドラフトをしていた。他球団が即戦力中心の補強をするだけに、比較的、素質ある高校生を取りやすかった。野手であれば足や肩を重視して、打撃は入ってから鍛えればいいというスタンスでした。けれども、一昨年までは大学や社会人中心、野手であれば打撃重視、パンチ力のある選手を優先的に獲得していますからね。低迷し始めて結果を求めているのか、即戦力を追い掛ける傾向が強かったと思いますね」

 それでもドラフト上位で獲得した大学、社会人選手が本物の「即戦力」ならともかく、15年以降に1、2位指名した大学、社会人8人のうち、一軍で活躍しているのは加藤貴之(29)、石井一成(27)、河野竜生(23)、伊藤大海(24)の4人くらい。バリバリの主力といえるのは伊藤だけだ。

 新庄監督が力を注いでいる「育成」で結果が出なければ、もうひとつの柱である「スカウティング」に問題があることになる。

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