戦時中のパラ開幕でバッハ退任論が急浮上 次期IOC会長を狙う「3人の名前」
ロシアのウクライナ侵攻が続く4日、ロシア、ベラルーシ選手の参加を禁止した上で、北京パラリンピックが開幕した。
IOC(国際オリンピック委員会)はウクライナ侵攻直後に五輪の休戦決議を破ったロシアを批判し、国際大会からの排除を要請。バッハ会長(68)は「休戦(協定)を守り、平和にチャンスを与えてほしい」と言及したが、あくまでタテマエともっぱら。生粋の親ロシア派であり、五輪開催国の中国・習近平国家主席ともベッタリだ。
戦争を引き起こす国や人権侵害が問題になる国に肩入れするバッハ会長とIOCに世界各国は怒り心頭。ロシアのパラ参加可否を巡っても国際パラリンピック委員会の参加容認(後に撤回)に賛同し、火に油を注ぐ始末だった。
「バッハ会長はそのロシアにも五輪休戦を無視された。任期は2025年までだが、いつバッハ降ろしの声が巻き起こってもおかしくない。IOC役員は『親バッハ』で固められているものの、『脱・親ロシア、脱・親中国』を貫ける人材が不可欠との声が少なくない」(放送関係者)
政治的中立の立場を守れる人物が務めるべき
では、次期会長にふさわしい人物は誰なのか。
「これまでの情勢を鑑みれば、セバスチャン・コー氏(65)が有力候補の一人です」とは、五輪アナリストの春日良一氏だ。
15年から世界陸連の会長を務める英国人のコー氏は元陸上選手で、1980年モスクワ五輪、84年ロス五輪と2大会連続で1500メートル金、800メートル銀を獲得。本人も次期会長の椅子を狙っているといわれる。前出の春日氏が言う。
「彼は選手として、英国政府から支援をもらえない中で五輪に参加した背景があり、国民感情から言っても支持が高い。ロンドン五輪の際は招致委員長として誘致を成功させ、国際的にメジャーな五輪スポーツである陸上のトップである点から見ても妥当でしょう。(ナイキから顧問料を受け取り続けていたことなど)過去の問題はありますが、全てが潔白なトップはいないでしょうから」
バッハ会長が仮に任期を全うした場合は、「24年パリ五輪の成否次第で、パリ五輪組織委員会会長を務めるトニ・エスタンゲ氏が急浮上する可能性があります」とは、前出の春日氏。
「43歳と若く、IOC委員ではないですが、パリ五輪は純粋にエンターテインメントとオリンピックだけにスポットを当てた大会を強調してきた。種目数を男女平等で完全に五分五分にできたのは、次回のパリ五輪が初めて。(IOCが推進する)クライメート・ポジティブ(温室効果ガス排出量削減)の24年中の実現も宣言している。パリ五輪はスポーツ、環境、ジェンダーの観点から理想的な五輪の実現を目指す姿勢が強く、未来に向かう五輪をつくれるのではとの期待が高まっています」
元IOC会長のフアン・アントニオ・サマランチ氏の長男、サマランチ・ジュニア氏(62)も候補の一人。今年5月からIOC副会長に復帰するが、IOC内では「父親とはスケールが違いすぎる」との声も。
「いずれにせよ、特定の国に肩入れせず、政治的中立の立場を守れる人がトップを務めてほしいし、務めるべきだと思います」と言う春日氏の意見はもっともだ。