大坂なおみを泣かせたヤジ「ユー・リアリー・サック!」の“正体”
テニスと言えば「クワイエット・プリーズ(静粛に)」という主審の言葉を思い出す人は多いだろう。野球の打席でも集中力は大事だが、球場でそんなアナウンスはない。テニスはインパクトがすべて、そこを理解して欲しいわけだ。
大坂なおみが、米国カリフォルニア州インディアンウェルズのマスターズ大会「BNPパリバ」の2回戦でヤジられ、0-6、4-6で敗退した。涙をボロボロ流し、主審にマイクを貸せと頼み……後味の悪い試合になってしまった。
「ナオミ、ユー・リアリー・サック!」
サック(suck)は「最低」「むかつく」のような不敬表現で、若者の間では耳にするスラングで、男子選手は試合中によく口にする。観客がラリー中に早とちりで声を発することはよくあり、ジョコビッチは「興奮して思わず声を出すのは仕方がない」と言う。今回はタイミングの問題だろう。
試合開始2分すぎの相手サーブの場面。試合がもっと進んでいれば、アドレナリンで聞き流しただろうし、本人もそんなコメントをしている。開始直後の発声には明らかに試合とは別の意図があり、それを敏感に感知するデリケートな選手もいるのだ。私が思い浮かべたのは、賭け(ベッティング)だ。