大谷翔平が日本人初「サイ・ヤング賞」なら…佐々木朗希の市場価値は爆上がり
二刀流がマウンドで全米を魅了した。
エンゼルス・大谷翔平(27)が日本時間21日のアストロズ戦に「1番・DH」で先発登板。投げては6回を1安打1四球無失点で今季初勝利(2敗)。打っては4打数2安打1四球で今季3度目のマルチを記録した。
大谷は六回1死まで一人の走者も許さず、ア軍の強力打線を翻弄。三回からは、キレのある変化球(スライダー、スプリット)で、6者連続三振を奪うなど、過去6試合で0勝3敗、防御率5.92と不得手なア軍から初白星を挙げた。
予定していた95球に達する前(81球)に降板した大谷は「(完全試合は)頭にありましたけど球数が多かったので。9回まではというのはなかったかな」と振り返った。自身の2点適時打もあって初回に大量6点の援護を受けてのマウンドに「そこから抑えるのが当たり前みたいな雰囲気の中でリズムをつくっていくのは難しいんですけど、しっかりできたのはトータルとしては評価できるかな」と自画自賛である。
大谷の快投にはチーム内外から絶賛する声が上がった。敵将のベーカー監督は「多くの人が忘れているようだが、彼(大谷)のスライダーは簡単に打てるものではない。これまでも何人の打者が、あのスライダーを振らされたことか」とお手上げといった表情。マドン監督は「これまで見た中で彼のベスト投球だ。彼のスタッフ(球質)の素晴らしさを考慮すれば、サイ・ヤング賞候補に挙がるべきだ」と、投手として最高の栄誉に値する内容だと話した。
投手としてなら大谷以上のポテンシャル
開幕からわずか3週間でタイトルについて言及するとは気の早い話だが、大谷がシーズンを通じてローテを貫けばサイ・ヤング賞は決して手の届かないものではない。同賞はもともと、勝ち星は重視されていないとはいえ、昨季はブルワーズの右腕バーンズがいずれも先発投手では史上最少の11勝、167投球回で受賞した。サイ・ヤング賞のハードルは年々、下がっており、今季の投球内容次第では、大谷が昨季のバーンズを下回る数字でも選出される可能性は十分あるのだ。
仮に大谷が昨季のア・リーグMVPに続いて日本人初のサイ・ヤング賞受賞なら、17イニング完全投球を継続中のロッテ・佐々木朗希(20)のメジャー移籍にも影響しそうだ。日本人投手の評価がさらに高まり、佐々木の市場価値の爆上がりにつながるからだ。
ア・リーグのスカウトがこう説明する。
「メジャーの各球団が注目する佐々木は『投手としてなら、大谷以上のポテンシャルを秘めている』との評価で一致している。まだ線は細いが192センチと上背があり、メジャーの評価項目のひとつであるサイズでは193センチの大谷と比べても引けを取らない。佐々木のメジャー移籍のタイミングにもよるが、渡米時の日本人投手最高額である田中(ヤンキース)の7年総額約180億円を上回るのは確実ではないか」
大谷は同じ岩手県出身の佐々木について「素晴らしい投手で、(米国でも)みんなが知っている。これからも頑張ってほしいし、応援したい」と話したが、メジャー移籍も後押ししそうだ。