札幌市民の過半数が反対でも止まらない…「2030年冬季五輪」招致活動の能天気
■覚悟なくして成功は見込めない
この日、会合に出席した北海道商工会議所連合会会頭の岩田圭剛会長は「大会の経費負担を問題視する見方もあるが、これは経費ではなく投資としてとらえるべきだと考えている」と言い、山下JOC会長は「自国で開催される大会は社会を変える力がある。持続可能な社会を世界に発信すべき、またとない機会」と語った。そんな説明でどれだけの札幌市民、国民が納得するのか。
五輪アナリストの春日良一氏はこう疑問を呈する。
「日本だけでなく、世界中で新型コロナのパンデミックを経験した。それなのに、今の五輪招致のあり方はあまりにも牧歌的で能天気です。まるで東京五輪では何もなかったような発言ばかり。『この人たちはタイムマシンに乗ってやって来たのか?』と思いました。昨年の東京五輪も前回(1964年)のような活気を取り戻したい、という懐古的な考えから始まっている。それはもう時代遅れです。18年に札幌市は北海道で発生した地震の影響で、26年開催の五輪招致を断念したが、『パンデミックや戦争、何があっても五輪をやる意義がある。それはこういう理由だからだ』という覚悟なくして開催しても、成功は見込めません」