権藤博さんから交代を告げられ、ベンチ裏の控室に入るなり床にへたり込んで動けなかった
ダブルヘッダー第2試合の八回から登板、高沢秀昭さんに同点本塁打を打たれた私は九回もマウンドに上がった。
無死一、二塁のピンチを二塁手・大石大二郎さんのファインプレーでしのいだが、大石さんが二塁走者を押したという有藤監督の抗議で9分間中断。1死一塁で試合が再開されたとき時計の針は22時20分を回っていた。ダブルヘッダーの2試合目は4時間を過ぎて新たなイニングに入れない規定があったから、その4時間まで約20分。近鉄は時間とも戦っていた。
2死後、二塁打と敬遠で満塁のピンチを迎えたものの、私はまたしても野手の好守に救われた。次打者・愛甲猛さんの当たりは左翼手前への浅い飛球。左翼手の淡口憲治さんが猛ダッシュ、地面スレスレでキャッチした。あれがポトリと落ちればサヨナラ負け、その時点で西武の優勝が決まっていた。
128球を投げ、中1日のダブルヘッダーで連投した。本来なら同点本塁打を打たれた八回で降板するか、もしくは逆転されていてもおかしくなかったとも思う。
「よし、代わるぞ」