戸田和幸氏がW杯“死の組”での日本代表を占う「超ハードワークできれば不可能も可能に」

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戸田和幸(2002年日韓W杯 日本代表MF)

 カタールW杯開幕が約4カ月後に迫り、日本代表メンバー選考も最終段階に入っている。19日に国内組の日本代表が参戦する東アジアE-1選手権が開幕したが、欧州組を加えた強化の場は9月の代表活動だけ。森保一監督もピリピリ感を高めていることだろう。同指揮官がJ1広島のコーチだった時代にプレーしていたのが、2002年日韓W杯の日本代表MFで現在は渋谷シティFC・テクニカルダイレクターを務める戸田和幸氏だ。

「森保さんは物凄く丁寧な人。選手をリスペクトして意見を聞きながらチーム強化を進めるタイプ」と振り返る。選手と良好な関係を築くのに長けた森保監督をもってしても、W杯本大会で優勝候補のドイツやスペインと互角に対峙するのは至難の業。戸田氏に日本サッカーの現在地、日本サッカー悲願のW杯8強への方策などをじっくりと聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 ──現在は東京都1部(J1から7部相当)の渋谷シティFCで実質的な監督を務めています。

 単に現場強化だけではなく、地域と一緒にチームづくりを進めている感覚を持てるので刺激的で楽しい。選手の成長を間近で見られる喜びは、現役時代よりもはるかに大きいです。ありがたいことに今季は、ここまで半年戦って公式戦全勝と結果も出ています。渋谷という都市型エリアで他チームとは異なる方向性のクラブをつくる一助になりたいと日々、戦っています。

 ──目指すサッカースタイルは?

 大事なのは、ゴール前の攻防を増やすこと。渋谷は、若者や子供などいろいろな流行に敏感なライト層が多い。得点に関わる回数が多いほど魅力的なサッカーに映るでしょう。今はそこにこだわっています。今季初めて渋谷区スポーツセンターで戦った10日のZION戦は、前半こそアグレッシブに戦えましたが、後半はゴール前に攻め入る回数が減りましたね。加えて先発したGKが、ボールをつなぐべきところで安易に蹴り出すプレーをした。ゴール直結という意味では悪くないんですが、DFラインから組み立てる方がベターだった。そのチャレンジを忘れた彼を僕は即座に代えました。選手交代にメッセージを込めることで渋谷シティFCが目指すものが何なのか、選手たちに考えてもらっているのです。

 ──渋谷の練習と試合、解説業の両立で寝る暇もないのでは?

 渋谷シティFCは月、木曜日がオフなので活動は週5回。解説業は平均週2回、多い時で週4回ですから、確かにタイムマネジメントは大変です(笑)。でも、今の僕はダブルワークしなければいけない立場。指導者経験を積み重ね、近い将来には一本立ちしたいと考えています。

 ──16年末にJFA公認S級ライセンスを取得して慶応大と一橋大、そして渋谷シティFCで指導してきた戸田さんから見て、森保監督はどのような指導者ですか?

 僕が06~08年に広島でプレーしていた時、森保さんはミシャ(ペトロヴィッチ=現J1札幌)監督の下でコーチをしていました。物凄く丁寧で、選手へのリスペクトを欠かさない人。自分の考えを押し付けるのではなく、聞くことを大事にされている。日本代表では能力ある選手を確実にピックアップしているし、彼らの力を最大限発揮させようと仕向けている、ということを強く感じます。

 ──6月の代表4連戦を見てどう感じましたか?

(4試合目の)チュニジア戦の解説をしたので試合会場の吹田のピッチでアップを見る機会があったのですが、試合前の選手たちからは疲労感が漂っていた。案の定、0-3で負けました。パラグアイ戦(札幌)、ブラジル戦(東京)、ガーナ戦(神戸)をこなして最終戦だったので選手たちの消耗はよく理解できます。しかしながらW杯本大会でドイツ、コスタリカ、スペインと戦うことを考えると少々、物足りない部分もあります。日本サッカーの悲願である8強を達成するには、ラウンド16でベルギーと当たる可能性が高く、彼らに勝たなければいけないわけですからね。僕自身も日韓W杯で4戦フル稼働して体力の限界を感じました。4年に1度の大舞台だと1試合当たりの疲労度は他と比較にならない。だからこそ、もっとギアを上げないといけない。選手層の拡大も必要不可欠でしょう。

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