ファーム暮らし続く巨人3年目を支えてくれた 元近鉄ブルペンコーチの助言
「あのな、阿波野、おまえが投げている姿を見ているのは近鉄の人間だけやない。相手球団も、それ以外の球団の編成の人たちも調査のために見に来てるんや。だれが見ているか分からないんやから、野球に対してはしっかり取り組まんと。自分の置かれている立場に振り回されたらアカンよ」
あれは左肘の靱帯損傷などもあって二軍暮らしが続いた1993年ごろだったと思う。
私も若かったし、ファームで投げても意味がないというか、半ばふてくされていたような時期があった。そんなとき、当時、近鉄のブルペンコーチで、よく球を受けてくれた石山一秀さんにこう言われた。
このとき石山さんが言ってくれたことは、後々まで自分の頭の中に残っていた。特に巨人に移籍して3年目の97年は、石山さんの言葉が何度も脳裏に浮かんだ。一軍での登板は、本塁打王になったヤクルトのホージーを歩かせただけ。それでも、腐ってはいけない。もちろん巨人の中で認められたい、一軍に上がりたいという気持ちで投げているけれども、自分の野球人生を考えたら、まだ二軍でもこれだけ投げられるというところを他球団の人たちにもアピールしたかった。
この年はファームで計31試合に登板。5試合に先発して3勝2敗2セーブ。故障で離脱することもなく、先発とリリーフでフル回転した。