著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

スポーツは「不況に強い」といっても…大リーグも凝視するFRBの利上げの行方

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 例えば、ヤンキースは大リーグとして初めて球団の価値が60億ドルとなったし、30球団の平均価値は20億7000万ドルと史上最高額を更新している。テレビ視聴率の低迷や観客数の伸び悩みといった悪条件が重なる中で、なぜ球団の価値は向上したのか。

 日米ともに試合時間の長さはしばしば問題視される。しかし、広告の面から考えるなら、自社の宣伝が1秒でも、より多くテレビやインターネット配信の画面上で視聴者の目に留まることは好ましい。平均3時間を超える大リーグの試合は、2時間10分程度で終わるNBAや2時間20分程度のNHLに比べて、より魅力的な対象となる。

 あるいは、ヘルメットのステッカー広告が今季のポストシーズンから、ユニホームのパッチ広告が23年から解禁される予定であることも大リーグが宣伝媒体としての存在感を高めるとともに、球団の価値の向上にもつながっているのである。

■自動車や住宅の販売数減少

 ただ、連邦準備制度理事会(FRB)が今年5月以降、連続で大幅利上げを行っているのは球界にとっても懸念材料だ。

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