力士を育てるだけではない…親御さんから「大事なご子息を預かる」相撲部屋の“責任”
相撲部屋で重要なのが、弟子のスカウト活動です。さまざまなツテが必要であることは前回述べましたが、私とおかみが知恵を絞って考えたのが、荒汐部屋のホームページ(以下HP)作成でした。
これからの時代はネットが力士入門希望者とのやりとりに重要だと感じました。荒汐部屋のように無名で小さな部屋にとっては、特に大切なツール。HPを通して日々の部屋の様子や出来事を発信し、更新しながらアピールを続けました。
そのうちに、親御さんや先生、そして希望者本人がHPを見てから電話で問い合わせをしてくるケースが当たり前になりました。進路として考えてもらうためにインフォメーションも工夫した結果だと感じています。
HPの「入門」の中に、「入門・修行・そして引退後までー荒汐部屋の相撲人生構築ポリシー」という項目があります。
相撲部屋は力士を育てることが本分ですが、同時に親御さんから大事なご子息を預かる責任も重大です。
全員が関取になれるわけではありません。大相撲の力士は現在、700人弱。そのうち十両以上、つまり関取はたったの70人。ほとんどの力士は「関取」と呼ばれることがないまま、引退していくのが実情です。