ダルは“孤高のイチロー”とは大違い 侍J最年長でも偉ぶらず栗山監督も指導を一任
審判がプレーボールをかけた直後、バンテリンドームが騒然となった。
2日、WBC日本代表・侍ジャパンのダルビッシュ有(36=パドレス)が中日との合同練習に登板。無死走者なしを想定して迎えた岡林に投じた2球目の150キロ直球が右ひざを直撃。岡林は苦悶の表情でしばらく起き上がることができず、ダルも心配そうに岡林のもとへ駆け寄った。
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その後も制球が安定せず、1死一、二塁の場面でビシエド、アキーノに連続で適時打を浴びたところで球数が23球となり、「いったん、終わっていいですか?」と自己申告。投球を切り上げた。
2、3イニング目は8種類あるという変化球を駆使しつつ、直球で押し込むシーンもあり、ちょうど50球でマウンドを降りた。登板後の本人は、「楽しみにしていたが、岡林選手に死球を当ててしまい動揺してしまった。そこから内角へいけなかった」と反省したものの、「最後の回あたりはだんだんと真っすぐが指についてきた。スライダーに依存しないで投げられた」と前を向いた。
WBCの大会ルールでメジャー選手は6日の強化試合からしか試合に出ることができず、難しい調整を強いられている。ぶっつけ本番で10日の韓国戦に先発する予定だが、NPBと中日はこの日、中日の選手が投打で参加するだけでなく、審判、電光掲示板も試合同様に“活用”。ダルが試合をイメージできるように最大限のお膳立てをした形だ。
チーム最年長のダルは今回、パドレスのキャンプをパスし、宮崎合宿から合流した。本番では先発、リリーフ問わず、フル回転するつもりでいるし、合宿から年下の選手たちに本人いわく「友達のような感じ」で接し、積極的に情報交換。変化球の握りはもちろん、トレーニング方法やリリースポイントなど細かい部分までレクチャーした。
栗山監督からも指導については一任されており、投手はもちろん野手も感銘を受けている。まさに「ダルジャパン」といっていい。
そんなダルの姿を、2006、09年大会連覇に貢献したイチロー(現マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)に重ね合わせる向きもある。
イチローはダルと同様、バリバリのメジャーリーガーとしてWBCに参戦。ダルもメンバー入りした09年大会では決勝の韓国戦で決勝打を放つなど、日本代表の象徴的な存在となった。