阪神18年ぶり「アレ」に強力援軍! 大物OBらが決起し岡田監督に熱いエール
川藤幸三OB会長とはじっこんの間柄
川藤幸三OB会長もそのひとり。岡田監督とは現役時代からじっこんの間柄で、1985年の日本一メンバーでもある。当時、チーム内には気心の知れた関係者で構成する「兄弟会」という友好団体があった。小林繁、工藤一彦、平田勝男、木戸克彦……。「ゴッドハンド」と呼ばれ、選手の信頼も厚い名トレーナーら裏方も名を連ね、リーダー格の川藤会長と岡田監督が親睦会などのセッティングを仕切った。
その場で後輩は「あにぃ、あにぃ」と呼ぶ。すると先輩は「おう、きょうだい」と応じる。まるで任侠の世界だが、そう呼び合うのがこの会のしきたり。その後は「あにぃ、酌です」「おう、きょうだい。おまえも飲め」と宴席は続く。
川藤会長は風貌ばかりか、ハートも本物の“あにぃ”だった。初代ミスタータイガース・藤村富美男氏について「阪神タイガースとは。打倒・巨人とは。これを語らせたら本当に熱い人だった。あの貫禄だから初めて会った時は『うわっ、本物の虎がいる』と思ったよ」。“きょうだい”たちに藤村氏の猛虎愛の神髄を伝え続けた。
ちなみに、川藤会長には知る人ぞ知るニックネームがある。「浪速の春団治」ではない。「スカイ」だ。名づけたのはあの史上最強の助っ人、ランディ・バース。
「カワは懐が深く、心が広い。まるで空のように、どんなことでも優しく受け入れてくれる。だから『スカ~イ』と呼ばせてもらうよ」
大の阪神ファンで知られるタレントの松村邦洋は10年ほど前、川藤会長らと会食した際、「その愛称は知らなかった。恥ずかしい」と頭をかいたものだった。
岡田監督は川藤会長と現在も太いパイプを築いている。昨オフの就任直後には、川藤会長のユーチューブチャンネル「川藤部屋」に出演。打線構想や投手論、二遊間を中心とした守備重視のオカダ野球を語り合った。
現場の岡田監督と、OB会の会長ら重鎮が一枚岩となった強力タッグ。星野元監督はOBを味方につけて18年ぶりVの一助とした。悲願の「アレ」へ、大きな戦力を得た岡田阪神の土台は固まっている。
(長浜喜一/スポーツライター)