阪神の来季人事の目玉は「鳥谷敬の入閣」 阪急と岡田監督が温める後継者問題にくすぶる火種
阪急色が濃くなる懸念
しかし、鳥谷氏の入閣には障壁がありそうだ。
「鳥谷が19年に阪神を退団、ロッテへ移籍したのは、現役続行を望む鳥谷と引退を迫った阪神フロント首脳との間に溝があったから。当時のフロント首脳はまだ、球団運営に携わっている。球団人事に発言力を持つ角会長と岡田監督の鶴の一声で、鳥谷復帰は実現するでしょうが、そうなると鳥谷は『阪急色』が濃くなり、阪神側の反発も予想される。そこが阪神独特のややこしいところなんです」(古株の球団OB)
■アンチ岡田の反発
阪急と阪神が合併したのは17年前の06年。阪急が阪神を子会社化し、阪神は阪急にイニシアチブを握られた。が、タイガースだけは、かつて阪急がブレーブスをオリックスに身売りした過去や、NPBの30億円の加盟料問題もあり、“聖域”とされてきた。
「今回の優勝セールも阪急百貨店は自粛した。阪急色を消そうという意図が透けて見えます。しかし、角会長が阪神の監督人事に介入したことで、その聖域も崩れつつある。阪神グループにとって、タイガースは宝。阪急が主導した岡田監督による今回の優勝を面白くないと思っている阪神の人間は少なくない。
18年間も優勝できなかったのは、阪神の運営手法に問題があったのは間違いないですが、阪神内からは『長い時間をかけてチームをつくり、ようやく花が咲いたのに、岡田さんの手柄だけがクローズアップされるのはいかがなものか』という声も聞こえてくる。だから、鳥谷の復帰が実現しても、阪神側の人間で占められているフロントをテコ入れしない限り、足を引っ張られかねないのです」(同)
その鳥谷氏は昨21日、阪神対巨人戦でテレビ解説を務め、「今季のMVPは?」と実況アナから問われると、「MVPと言っていいかわからないですが、岡田監督。点の取り方や投手の起用法など、9月(の優勝)を目指してチームをつくり上げた」などと称賛した。
チームの未来を占う鳥谷氏の阪神復帰は実現するのか。周囲は固唾をのんで見守っている。(おわり)