武漢のコーチ就任後、現場で聞いた処理水問題…酷いコールも批判的な横断幕も一切ない
武漢編(1)
サッカーを愛する皆さま、お久しぶりです。
6月から、また中国のプロクラブでコーチとして働いています。クラブの名前は、上海市から内陸に700キロほど入った湖北省武漢市をホームとする「武漢三鎮足球倶楽部」です。
2022年シーズンの超級(1部)リーグで、2位に入った前所属クラブ「山東泰山足球倶楽部(山東省済南市)」を上回り、初のリーグ制覇を果たしたチームです。
■親日家のオーナーが日本人スタッフを探していた
まずは、このクラブに入った経緯をお伝えしましょう。2023年1月、山東泰山から急に契約終了を伝えられ、それからヨーロッパに渡り、いろいろなチームの試合を視察して勉強していました。その頃、武漢三鎮のオーナーが日本人スタッフを探していたのです。
オーナーはもともと日本が大好きで1年に何度も来日している方でした。自分の経営するクラブも日本人の指導者に任せたいと考え、そこで「乙級(3部)リーグ」に所属する武漢三鎮の友好クラブ「海南之星足球倶楽部(海南省)」に2021年9月、高畠勉・元川崎監督を招へいしました。
高畠監督は2008年と2010年に川崎で監督を務めた後、2014年から2015年までJ3で「JリーグU-22選抜」を率いて参戦した後、中国に渡って今年6月、シーズン途中で武漢三鎮の監督に就任しました。その際、補佐役として声が掛かったのです。
初めて中国に赴いた2021年2月に「日本と中国のサッカーの架け橋になりたい」という決意は、今もまるで変わっていません。日本には日本の良さがあり、それを中国に伝えたいと思いますし、もちろん中国の素晴らしさも虚心坦懐に学んでいきます。
ちなみに山東泰山時代は、ちょうど新型コロナウイルスが猛威をふるっており、市民生活やリーグ戦への影響も、とても深刻だった時期でした。今は、リーグ戦など通常通りに開催されていますし、日常生活レベルに置いても、もういろいろ気を遣わなくていいだろうと思っていたのですが……。