武漢のコーチ就任後、現場で聞いた処理水問題…酷いコールも批判的な横断幕も一切ない
平穏無事にリーグ戦が進んでいる
日本の皆さまを心配させてしまう事態が起きました。日本政府は、東京電力福島第一原発の建屋内にある放射性物質を含む「汚染水」をトリチウム以外の放射性物質を安全基準まで浄化し、8月24日から海に放出しています。そうです、「処理水問題」です──。
今回の海洋放出に対して中国が強く反発し、日本産の水産物を全面的に禁輸しました。さらには多くの公的機関、会社、店舗などに中国国内が発信元ではないか? と思われる迷惑電話が掛かるようになりました。
そして海洋放出が始まった直後の26日のリーグ戦で「青島海牛足球倶楽部(山東省青島市)」と「長春亜泰足球倶楽部(吉林省長春市)」のゲーム中、日本を揶揄するコールがスタンドから発生したり、他のスタジアムでは日本を非難する横断幕が掲出されたりする事態となりました。
それで僕のところに日本から「何か嫌な目に遭っていないか」という連絡も来ました。
正確にお伝えします。酷い内容のコールも批判的な横断幕も、本当に一切ありません。平穏無事にリーグ戦が進んでいます。どうやら日本では過激な部分だけが強調されたようです。誤解が解けたら幸いです。
ところで──。
親日家のオーナーは今大変な苦労に直面しています。というのもオーナーの本業は不動産。ご存じの通り、今の中国は不動産バブルが弾けてしまっています。オーナーもその波には勝てず、これまで単独で保有していた武漢三鎮の株式の一部をこの9月、売却することになりました。
それでも情熱的にクラブ経営を続けてくれる事に対して大変有り難く思っているところです。 =つづく
(取材・構成=森雅史/サッカージャーナリスト)