陸上日本選手権1万mの12月開催は記録のため?陸連元強化委員長「この時季では意味ない」と苦言
陸上日本選手権1万メートルの男子は塩尻和也(27)が27分9秒80の日本新記録で優勝。女子は30分55秒29の広中璃梨佳(23)が3連覇を果たした。
今大会は、参加標準記録(男子27分0秒00、女子30分40秒00)を突破して優勝すれば来年のパリ五輪代表に内定するはずだった。塩尻の好記録に関係者は沸いたものの、男女とも該当者はいなかった。
日本選手権で初めて電子ペーサー(ウエーブライト)が採用されたレース。トラックの内側をぺースごとに異なる色のLEDライトを光らせる、いわゆる「電子ペースメーカー」で、男女の最速ペースが男子は緑色(27分15秒)、女子は赤色(30分50秒)。ラスト1000メートルはペースを上げ、標準記録突破をアシストする陸連の狙いは期待外れに終わった。
毎年6月に行われる日本選手権が、今年は男女1万メートルだけ12月開催(3年前の12月開催はコロナ禍のため)になったのも記録のためだ。
そもそも参加標準記録はタイム的に厳しい。五輪切符は、世界陸連が認定する「ワールドランキング」で手にする方法もあり、そのためにも今大会で1秒でも速い記録が求められたわけだが、「パリ五輪を考えればこの時季の記録は意味がない」と言うのは陸連強化委員長、専務理事などを歴任した澤木啓祐氏だ。