米国西海岸を揺らす大坂なおみ 醜聞さえも女子テニス界にプラス効果もたらす存在感
年の瀬は、大谷翔平のドジャース移籍で一色だ。永井荷風が「あめりか物語」に描いたように米国西海岸はいわば古い隣村。ロスにはNBAの八村塁もいるのだが、忘れていけないのは……来る年を賑わすのは間違いなく大坂なおみだ。
昨年9月の東レPPO以来コートを離れていた大坂が、全豪オープンの前哨戦、元日に開幕するブリスベン500で復帰する。7月11日に長女「シャイ」を出産すると、9月には元コーチの“優勝請負人”ウィム・フィセッテを西海岸に呼び戻して準備開始。1年余りのブランクとはいえまだ26歳だ。
メジャー4勝に匹敵する選手は世界1位のイガ・シフィオンテクだけでトップ10と互角以上の対戦成績を持つ。南半球のハードコートは得意、全豪で2度優勝。何より、憧れのセリーナ・ウィリアムズがどうしても一歩届かなかった“子連れメジャー制覇”は、新たな動機付けとしては申し分ない。
母は北海道で父はハイチ出身、大阪生まれのニューヨーク育ち、連れ合いは西海岸のラッパーで娘の名はヘブライ語の「贈り物」。自分の会社名「ハナクマ」はスワヒリ語で卑猥な意味だと騒がれ……この目まぐるしい国際性こそナオミの世界ブランドで、今年の収入は戦わずして1500万ドル(約22億円)……文句あっか! である。