引退セレモニー前の試合で代打コールされ、ソフトB捕手の城島健司に「勝負!」と言うと…
ロッテ一筋17年。2005年9月19日、ついにその日がやって来た。
「優勝を争っている時期に申し訳ありません。私、初芝清は今季限りで引退します。体力的な問題と若手の台頭。ここで身を引こうと決意しました。残り試合、どんな場面でもチームの勝利に貢献できるように頑張ります」
記者会見で引退を表明した。レギュラーシーズンの1位通過と31年ぶりのリーグ優勝がかかっていた時期だけに、本当は全てが終わってから報告しようと思っていた。
しかし、ボビー・バレンタイン監督(ボビー)が「ホームのマリンスタジアムでの最終戦で引退セレモニーをやりましょう」と取り計らってくれたため、その前に表明することになった。
それにしても「残り試合も頑張る」とは言ったものの、この時点で127試合を消化していて残りは9試合。ソフトバンクと熾烈な首位争いの真っ最中だったとはいえ、プレーオフを含め、ここから引退まで、ひと山もふた山もあるとは思わなかった。
その年の私は50打数11安打で打率.220、6打点。はっきり言って二軍に落とされてもおかしくない成績だ。それでも一度も二軍に落とされなかった。チームの精神的支柱になれるようナインを鼓舞し続けたからだろうか。ボビーは1995年に1年間、ロッテの監督を務めている。当時から在籍している選手は私と数人しかいなかった。打順は毎日変わるし、3安打の翌日にスタメンを外されることもあった。外国人特有の采配は時に勘違いされたが、「監督は相手投手との相性を重視しているからなんだ」などとボビーの考えをナインに説いて回った。「選手とのパイプ役」を期待されているようだった。