引退セレモニー前の試合で代打コールされ、ソフトB捕手の城島健司に「勝負!」と言うと…
■選手、裏方が号泣する中でマリンスタジアム内を1周
会見から3日後の9月22日。本拠地最終戦後に引退セレモニーが予定されていた。相手は首位を争っていたソフトバンク。私は六回裏に代打でコールされると、捕手の城島健司から「この打席、どうしますか?」と聞かれた。「引退する打者の最後の打席は直球勝負」が暗黙の決まりだが、「普通に勝負しよう!」と即答。すると、三瀬幸司から足元に死球を食らった。普通、当てられることはないが、優勝を争っていたから相手も本気だった。私は痛みに耐えながら一塁へ走り出すと、球場中が笑いと拍手に包まれた。この様子はフジテレビ系の「プロ野球珍プレー好プレー大賞」で繰り返し流されることになる。
その後のセレモニーでは「世界一のファンの前で17年間も野球がやれて感謝の気持ちでいっぱいです」と挨拶。「これからプレーオフを勝ち抜き、日本シリーズを制してバットを置きたい」とスピーチした。その後、ナインに胴上げをしてもらい、スタンドからは真っ白な紙テープが投げ入れられた。紙吹雪が舞う幻想的な光景の中、マリンスタジアムを1周したことは生涯忘れない。