終わらないメダル狂騒曲…選手の頑張りを東京五輪汚職を洗い流す「メダルウォッシュ」にしてはいけない
パリ五輪日本選手団の尾県団長が五輪最終日の総括会見で、「全力を出し尽くし、多くの人にオリンピックやスポーツの素晴らしさを伝えることを大きな目標としてきたが、その結果が一つ一つのメダルの積み重ねとなった。本当に選手たちが頑張ってくれたと思う」と語っていた。
一聴すると、勝ち負けに関係なく奮闘し、懸命に戦うその姿を通してスポーツの魅力を伝えた選手たちの労をねぎらい、敬意を表す団長らしい言葉に聞こえる。
メダルの数はあくまで、その結果だと。
しかし一方で、尾県団長は五輪開幕前に、「金メダル20個、総数55個」とするメダル獲得目標を立て、それを公表している。そして、閉幕後にはメダリストだけを引き連れ、首相表敬に参じている。団長の本音は、メダルだけが万能だと思っているのではないか。せめて、メダル獲得目標を掲げていなければ、「スポーツの素晴らしさを伝えるために選手が頑張った結果の好成績」との言葉がすんなり胃の腑に落ちるところだったが、実際は、単なる予想でしかないメダル獲得目標数がバッチリ当たって大喜び、東京五輪汚職や札幌冬季五輪辞退を洗い流すメダルウオッシュが完成したと思っているのが透けて見えてしまうのだ。