なぜロッテは5球団争奪戦に勝てた? 石川柊太の心を掴んだ「マリンの風」だけじゃない独自の“強み”
千葉の鴎がまさかの凱歌を上げた。
ソフトバンクからFA宣言をしていた石川柊太(32)が昨11日、ロッテ入りを決断。先発と中継ぎをこなせる右腕として、通算56勝41敗、防御率3.32。今季は中継ぎ5試合を含む15試合の登板ながら、7勝(2敗)、防御率2.56をマーク。年俸は1.2億円も、人的・金銭の補償が必要ないCランクとあり、宣言残留を認めていたソフトバンクを筆頭に、巨人、ロッテ、オリックス、ヤクルトによる5球団の争奪戦に発展した。
ロッテの提示額は3年6億円程度。必ずしも他球団を上回る条件ではなかったとみられるが、そんなロッテが争奪戦を制したのはいくつかの理由がある。
かねて在京志向があった上に、石川はロッテが本拠地とするZOZOマリンスタジアムと相性が良く、通算7勝1敗。今季も3試合で無失点だった。鋭く曲がるカーブを武器にする石川にとって、マリンの風はまさに「鬼に金棒」だ。
それにしてもロッテはFA戦線に強い。高額の大物には手を出さないが、19年には4球団が競合した前楽天の美馬(Bランク)、同じく6球団が争った前ソフトバンクの福田(Cランク)のダブル取りに成功。美馬は3年総額5億円、福田は4年総額6億円と、決して他球団より高い条件だったわけではない。それでも数ある球団の中からロッテを選んでいる。