球団経営権めぐる禍福…パドレスは骨肉の争いで壮絶内紛中、佐々木朗希獲得失敗の一端になったか
2023年11月にパドレスの筆頭オーナーであったピーター・サイドラーが死去したことは、球団に大きな禍根を残した。
昨年12月にピーターの2人の弟が経営権を継承したことが公表されると、夫を亡くしたシール・サイドラーが2人は故人の遺志に反して経営権を奪ったとしてテキサス州の遺言検認裁判所に告訴したのである。
生前に夫は自分を後継者にする予定だったというシールと、ピーターが生前に作成した信託契約書の中でシールは経営権の経営者に指名されていないとする2人の弟の間の隔たりは大きく、司法判断以外に事態を収拾することは難しい状況だ。
しかも、弟の1人、マットが裁判所に提出した答弁書では、佐々木朗希との交渉でパドレスが契約できなかった原因の一端が今回の訴訟にあったと示唆されるなど、問題の影響は大きい。
親子2代にわたってドジャースを経営したウォルターとピーターのオマリー家の一族であるサイドラーが抱いた、祖父や叔父たちのように家族的な雰囲気のある温かい球団をつくろうという願いは、遺族同士の紛争によって実現不可能となったのである。